ベトナムで車は贅沢品
ベトナムには中古製品に苦しめられた時代がありました。自動車でも機械でも、自国で作れない物を中古で輸入したのです。しかし社会主義故に輸出してくれる国は限られます。それらの場所から信頼性の低い中古品が入ってきて、大変苦労した歴史があるのです。
従って中古製品そのものが良くは見られていません。また清貧なところもあるので、車=贅沢との考えもまだまだ根強いのが現状です。あえて中古品が入ってこないように、関税を高くすると言った政策も存在します。
もちろん新品であっても同様で、国内の産業保護・育成の名の下、タイやインドネシアといった自動車大国からの輸入を抑えようとしています。
しかし国内の製造規模は周辺国と比べると微々たるもので、ニーズが増えれば輸入数を増やして対応するというのが自動車メーカー各社の動きです。
非常に高価なベトナムの自動車
実際に自動車を買おうとするとどうなるのでしょうか。例えば日本の排気量2000CCセダンを代表例に考えてみましょう。日本であれば2000CCエンジンの5人乗りセダンなら、定価180万円程度から買うことが出来ます。
もちろん日本にも税金はありますが、それでも200万円も出せば買える計算。日本のディーラーは値引きが当たり前なので、実際は更に安くなります。
一方ベトナムは、輸入時の関税、特別消費税(SCT)、オーナーシップ税が自動的に加算されていきます。
そもそも関税自体がおよそ80%(!)なので、輸入された時点で180万円の車は300万円を超えます。さらにそこから10%~超の税金が足されていくので、売値がとんでもない金額になるのはご理解いただけるはずです。
日本でも人気の高いVIPシート仕様のアルファードなら、1,000万円を軽く超えてしまうので、超高級車にすら見えてしまいます。
ベトナムは国土の大きさや国民の多さ(9000万人超)からして、自動車需要のポテンシャルはあるはずですが、国策として車を増加させないよう思慮している点が、とても気になる部分です。
高級車は沢山走っている
それでも車がゼロなわけではなく、高級車を中心にかなりの台数が走っています。東京以上に高級車の比率が高いです。ポルシェのカイエン、パナメーラ、レクサスのRX、LS、LX、ベンツのSクラスに、ロールスロイス、ベントレー・・・・ここは高級車の展示場でしょうか。しまいにはBMWの最新PHEVであるi8を二台も見てしまいました。
車は今後自動的に増えていかざる終えないと思います。豊かになると考えが変わるのは良くあることですし、国の方針が徐々に変わっていくことも、また歴史が証明しています。
しかし、バイクで家族全員『ギュッ』と寄り添って走っているのを見ると、何かそれはそれで幸せなのかな、これで十分なのかな、と思うところがあります。
危ないのは百歩譲って、皆楽しそうな顔をしている風景は消えて欲しくないと最近強く思います。