ホテルグループの巨大化が止まらない
最近世界の流れは”統合と拡大”になりつつあります。どんな業界でも大きな会社が小さな会社を買収したり合併したりしながら大きくなり、巨大な企業体へと生まれ変わる流れが止まりません。例えばバドワイザーで有名なアンハイザー・ブッシュ・インベブによる下位企業の買収や、日経新聞社もイギリスの新聞会社を買収してグローバル化を目指しています。
ホテル業界でもその傾向が強く有名どころでは『ヒルトン Hilton』、『マリオット Marriott』、『アコー Accor』と言った巨大なグループが、複数のホテルブランドを運営しています。日本は独自ブランドのホテルや旅館が多いためそこまで知名度は無いと思いますが、ハノイをはじめ世界中を旅する人々は、グループホテルの有無を宿泊地選定の重要なポイントにするとも言われます。
ホテルの所有権と運営権は一般的には別々であるため、ある日ホテル名=ブランド名が変わる事も珍しくありません。最近ではホテル日航東京(お台場)がヒルトン東京お台場へと変わりました。
日本にもホテルグループはありますが、規模で言えば大人と子供ほどの差があり、世界の波には取り残されている感があります。地方の有名な観光地で巨大ホテルグループのホテルが無いのは日本くらいではないか?といつも旅をしていて思うものです。
観光地がいくら有名になろうと、世界レベルのホテルが進出しなければ特に富裕層は泊まりたがらない気がするのです。
ヒルトンホテルがウエストレイクにやってくる
ハノイには元から沢山の外資系ホテルがありますが、観光やビジネス人口の増加を見越してか、ヒルトングループは既存の2つのホテルに続いて、新たなヒルトン系列ホテルを開設します。恐らくほとんどの日本人は知らないであろう”タンロイホテル”を改装し、2018年に”ヒルトンハノイウエストレイク”として開設しようというものです。このタンロイホテル、実は大変な歴史を持つホテルです。1973年(まだベトナム戦争は終わっていない!)にオープンしたのですが、なんとキューバの支援で建てられたホテルです。そのせいかどことなくリゾートホテルのオーラが強く、 「なるほどキューバに行くとこんな感じか」と思わなくもありません。
現地の人にも名称は有名らしいのですが、あまりに古くなりすぎたためか『やー知ってますけど、まだあったのかって感じです笑』と語る人もおり、早晩潰れるか生まれ変わるかするだろうと思っていたところでした。元々が国家系のホテルですから、いきなりヒルトンに飛ぶのは驚きですが、ゆったりした雰囲気を維持しつつ、良いホテルに変わってくれればなと願うばかりです。
(個人的には想い出深い場所なので、名前が消えてしまうのはとても残念な事ですが・・・。)
ドバイコンラッドでトラブルに遭って以来泊まっていない
ヒルトングループ内には沢山のブランドがあり、ハノイにあるのは「ヒルトン」と「ヒルトンガーデンイン」の2つになります。前者は比較的高価格帯、後者はビジネスホテルレベルの価格帯です。私用であればヒルトンブランドレベルには泊まってみたいところですが、個人的にはどうもこのヒルトングループに良いイメージがありません。以前ドバイで1日だけ「コンラッド CONRAD」に泊まった事があります。コンラッドはヒルトンの更に上の高級ブランドですが、ドバイは宿の過剰供給状態のためか激安なのです。
アーリーチェックインを無料でしてくれたり、部屋の景色やら設備が最強レベルなのは素直に素晴らしいのですが、お風呂の栓を抜いたら水が逆流して部屋が水浸しになると言う信じられない事故が発生・・・(レビューを見ると私だけではない)。その後やってきた支配人らしき男の日本人を舐めたような対応にちょっとカチンときて、それ以来どうもブランド自体が信用出来なくなってしまいました。
「部屋を変えます?そんなの当たり前だ、あなた達からの弁済を要求する」と、海外向けの”はっきり主張モード”でゆっくり交渉した結果、リビングとデーツ付のスイートに変わったわけですが、その後先の男が入口でガンつけてきたんですよね。私はそういうのを確実に見逃しませんから、『コンラッドだ?かかってこい!』とトラウマ気味です。
この問題の本質は従業員の考え方や教育ですけども、ブランドと言うものは些細な事でも不信感が増大しますから怖いものです。一方で上手く運営すれば人の印象に根付くのもブランドの良い点。
今後ベトナムの人はもちろんASEANの人々はどんどん外へ出て行くようになりますから、今の内にホテルをどんどん作ってブランドの印象を根付かせる戦略も含まれているのかもしれません。