JR九州305系は日本一高級感のある通勤電車?
普段電車には特段のこだわりが無い私。乗り物好きですが、飛行機と車>電車とはっきり言えるほど、全くデザインや乗り心地などを気にする事がありません。しかし地下鉄空港線に乗り入れていたJR九州の車両は、そんな私でも”全く違う”と気がつくほど、他社の電車とは様子が異なります。
こちらが私の乗ったJR九州305系電車。
乗って、座って、『え、木なの〜?!』と独り言を言ってしまいました。木に見せたプラスチックかと思い撫でてみると合板のようです。
滑らかで良い感じなので、空港から博多までのわずかな時間でずっと触っていました笑。
こちらは正面から見た様子。
この電車、進行方向左右で色使いが違います。特に良いなと思ったのが、ドア脇座席のヘッドレスト。これが増えるだけで高級感が漂い、「どうぞお乗りください」と丁寧に言われているような気すらします。
普段乗っている通勤電車(E233系と言うそうです)の地味な色使いと、狭苦しさが強調される黒いつり革などは存在すらなく、サイズは同じ程度でしょうが広々としていて快適です。
どうでも良いと思う人には本当にどうでも良い話ですが、ここまで人の事を考えた電車は他のJRには無いのではないでしょうか?
グランクラスやグリーン車など高価な座席は別として、普通の料金で美しい座席に毎日座れるのは得した気分になります。
他のJR各社が手を抜きすぎ?事務的?なのかもしれませんが、これなら欧米等のデザインに慣れたインバウンド旅行者も納得するのではないでしょうか。
特急あそぼーい!のくろちゃん
ところで、冒頭に載せたKUROと書かれた犬。こちらは『くろちゃん』という、特急あそぼーい!で使われるキャラクターとのこと。最近はJR九州中で活用されるようになったそうです。
ドアの下にキャラクターを描くのがそもそも変わっていますが、もっとすごいのはドア毎にキャラクターのデザイン=動きが違うこと。一体何通りあるのか確かめたいものです。
デザイナー水戸岡 鋭治さんの作品
くろちゃんが頭から離れず疑問に思っていた時、偶然勧められた『幸福な食堂車』という本に全ての答えが書かれていました。JR九州は以前からデザインの良い特急が多いのですが、そのデザインを担当したのが水戸岡 鋭治さんであり、305系や高級寝台車ななつ星もご担当されているそうです。
日本にありがちなポスターベタベタや、機能優先のデザインを良しとせず、固定観念を壊すのがこの方の方針とのこと。
読んでいて大変感心し、以前よりもデザインの大切さを理解することが出来ました。博多駅のデザインにも関与されているそうで、東京駅の狭苦しい内部デザインを記憶していると、博多はどこへ行っても天井が高く歩いて楽しく気持ちの良い駅です。
元々写真のような木々を植えるだけでも反対があったそうですが、絶対に必要だと押し切ったとのこと。掃除の手間は増えますが、長期で考えた時の心地良さは格別です。
最後に何故くろちゃんがドアの下に描かれているのか?。この本に理由は書かれていませんが、『こどもの事を考えて』と言うのが回答になるようです。
こどもは大人以上に気がつき、物事を覚えていくものです。小さい頃からデザインに触れられるように、意図的に子供目線で愛らしいキャラクターを描いたのでしょう。
普段乗っているJR東日本の電車は無味乾燥で、一刻も早く降りたくなる電車ばかりです。
もしも日本中の電車が世界と勝負出来るデザインになるとすれば・・・海外からそれを目当てにした人達も訪れるようになるかもしれません。
新しい需要は作るもの。JR九州はそれを日々実践しています。