昔よりも立派になったComputer History Museum
昔雑誌を読んでいる時に見つけた白黒のページ。そこではアメリカのコンピューター関連の博物館が紹介されていました。当時のコンピューターヒストリーミュージアムは有志で運営される小さな建物で、開館時間も週に3日ほどと、非常に限られていたそうです。
現在では地域の企業や有名人からの補助金によって建物が大きくなり、歴史に残るコンピューターや、デバイスなどが展示されています。
例えば”そろばん Abacus”までもが、計算機の走りとして紹介されているのです。近年ではイーロン・マスク氏がテスラモーターの株主総会を建物内で開くなど、集会の場としても活用されています。
世界初のコンピューター”エニアック”がある
内部に入ると、勃興期から現代までの時系列に沿って、計算装置やロボット、コンピューター、ゲーム機などが展示されています。こちらは有名な”appleⅡとNECのディスプレイ”です。ディスプレイはセットになっていたわけではなく、普通のTVに繋いで表示することも出来ました。
世界で初めてのコンピューター、または最初期の電子計算機と呼ばれ非常に有名な”ENIAC エニアック”の一部です。
ENIAC自体は巨大な物であり、大型の建物で無ければ収容することが出来ませんでした。戦争が技術を発展させると言いますが、ご多聞に漏れずこの機械も、砲弾の弾道を計算するために開発されたものでした。
小さい頃親から”昔のコンピューターは家に入りきらない位だったんだぞ!”と教えてもらい非常に関心したことを覚えています。まさか自分の目でその一部が見られるとは・・・大変嬉しいことです。
先にご紹介したENIACの性能を現代に置き換えると、小さなチップ一つ分になってしまいます。
そう言えばアポロ11号の管制設備の処理能力より、最近のパソコン1台の方が性能が上と聞いたことがあります。
かつてドイツ軍によって使われていた暗号装置エニグマです。Wikipediaなどに詳しい仕組みが解説されていますが、私には何一つ理解出来ません。
暗号解読のプロでも手こずったわけですから、それもそのはずです。
変わった製品ですが”ABSの制御装置”なるものまで置かれています。1970年代の物とのことですから、現在はより小さくなっていることでしょう。またエアバッグ、トラクションコントロール、自動停止などなど、さらに車の電子化は進んでいます。
右側のコンパクトディスク(CD)とデジタルバーサティルディスク(DVD)は有名ですが、左の大きな円盤はご存じでしょうか?。これは”レーザーディスク(LD)”です。一般にも映像ソフトが発売されたり、カラオケで使用されたりしました。
レーザーディスクの映像データはアナログながらも圧縮しないため、圧縮するDVDに比べて良いと考えるファンも多いそうです。
我が家には偶然にも再生機がありましたが、ビデオデッキを二つ重ねたような巨大な機械でした。
現在はブルーレイディスク(BD) が最上位規格と言えますが、これからはネットワークを介したデータ配信が主になりそうですので、もはやディスク自体が終焉する可能性があります。
未来の世界を描いた映画バックトゥーザフューチャー2では、街のあちこちでディスクが粗大ゴミとして捨てられています。
AppleⅠとウォズニアック氏のサイン
これは目玉と言っても過言では無いアップルコンピュータ社の第1号機”AppleⅠ”です。また単に1号機と言うわけでは無く、なんと創業者の一人であるスティーブン・ウォズニアック氏のサイン入り。非常にレアな一台です。ゲーム機も立派なコンピュータの一つでしょう。様々なゲーム機が発売されては消えていきました。
最近のゲーム機はリアルさや高画質を極めつつありますが、一方で複雑になりすぎた側面もあるかもしれません。人々の生活スピードがどんどん速くなる中で、シンプルなスマートフォン用ゲームが流行るのも理解出来ます。
一番最後のエリアにソフトの展示が集められているのは、ある意味で示唆なのだと思います。既にプラットフォームに関係なく、様々な機能を実現出来る時代に入りつつあります。
デバイスの性能はほぼ横並びで、アプリケーションが豊富に存在するなか、次に問われるのは真の”ユビキタス=いつでもどこにでもある”なのでしょう。
元衛星プログラーマーとの出会い
平日だったのでお客さんは少なく、熱心に写真を撮る日本人は非常に目立ったのでしょう。あるおじいさんがこちらへ近づいてきました。話を聞くと、なんと昔スパイ衛星に使われていたフォルトランと言う言語のプログラムをされていたそうです。
「ウォズはたまに来るよー」や「このマシンの用途は〜」と言った詳しい話を1時間にも渡って説明していただきました。
展示を見て回るだけでも十分に楽しいですが、ベテランプログラマーの話を聞けるのは非常に幸運です。最後は一緒に写真を撮りました。
あっという間の2時間でしたが、人生でも指折りの貴重な経験であったと思います。近くにあるGoogleのHQ(本社)を眺めつつ、『やっぱり今回も思い切って訪れて良かった』と実感したのでした。
おまけ:スマートフォンの先祖
スマートフォン、タブレットの祖先”電子手帳”です。Palmやシャープのザウルス(日本仕様)まで展示してあります。無線LANなど無い時代ですから中途半端さはありましたが、これらのチャレンジがあったからこそ今があるのです。ソニーのCLIEやアップルのnewtonも創世記の製品として有名です。
そう言えば一部機種には、電話線につないでインターネットをする機能がありました。昔設置されていた灰色の公衆電話には、ISDNと56k電話回線のジャックがありましたね。
テレホンカードを入れながらインターネット・・・。後ろの人が気になってメールを打つのも一苦労だったのかもしれません。
コンピューターヒストリーミュージアムの基本情報
・ 住所:1401 N Shoreline Blvd. Mountain View, CA 94043・ 開館時間:10:00~17:00
・ 開館日:月曜日と火曜日は閉館。その他イベント時も閉館
・ 入館料:大人17.50ドル、学生・65歳以上・現役軍人13.50ドル
・ レストラン:入り口付近にカフェあり
・ 備考1:車でのアクセスが最適。広い無料パーキングあり
・ 備考2:すぐ近くにGoogle本社があるのでこちらも必見
・ computerhistory.org
(※上記の情報は全て2018年現在の情報です。必ず最新情報をご確認ください。)