BMWは炭酸水飲み放題サービス
BMWグループは主力のBMWブランドの他に、MINI、ロールス・ロイスの展示スペースを配置し、広く顧客に商品説明を行っていました。建屋内に入ってまず目につくのが「カウンターバー」です。何故展示スペースにバーがあるのかと近寄ってみると、専門の係りの人が無料で炭酸水を振舞っていました。一人一杯と言った制限は無く飲み放題。ドイツは乾燥しているので非常に助かるサービスです。
わざわざバーカウンターの設備を設けて、人を配置し、無制限で水を配るのですから結構なコストが掛かっている気がします。無くても誰も文句を言わないでしょうが、それでもあえておもてなしをしようとする部分にBMWグループの懐の大きさを感じました。
ちなみに展示会場内には特設コースが設けられており、一定時間おきにアクセル踏み気味の車両が室内を走り抜けていきます。
アウディはおやつプレッツェルを配布
VWグループのハイブランドを担うアウディ。ブランド力の高さからVWとは別の建物を特設して車両を紹介しています。特設された建屋はちょっとした体育館並の規模で、中はディズニーランドのアトラクションのように趣向を凝らしたデザインです。現地の方からも注目度が高いのか、中は超満員。外で入場制限を行い少しずつ観客を入れていきます。
列が延び延びになった時、前方からアウディのシャツを着たお兄さんが現れ、ニコニコしながら待っている人達に何かを配っていきます。
もらった小さな袋はオリジナルのプレッツェル。待たせる事を最初から想定して用意していたのでしょうが、気の利いた事するなとアウディに対する好感度がグッと上がります。
その後建物に入ると、前方に正社員らしきおば様登場。ものすごい笑顔でハイどうぞ〜とすかさずオリジナルボールペンをくれました。
アウディに大して興味が無かった私が、ものの数十分でファンになってしまうこの感じ・・・。特別な事をしなくても自動的に人は寄ってくるブランドなのに油断しない姿勢。気持ちが伝わってきます。
メルセデスベンツは”ベンツバッグ”とカタログ配布サービス
最後はメルセデスベンツ。日本でもベンツは絶対的なブランド力を発揮しますが、ドイツでも素直に”大人気”のブランドである事が良く分かりました。展示会場はBMWやアウディの2倍はあろうかと言う建屋に、巨大ステージが敷設されています。ステージは10台程度の自動車が並んでもまだスペースが余るほどです。更にステージ裏は駐車スペースとなっており、展示の演目毎に車種が交代していきます。流石ファッションショーの後援をしているだけあって、見せ方に品があります。
動員規模の大きさから流石に物を配布するのは難しいようですが、代わりに配布されていたのがあらゆる車種のカタログです。しかもドイツ本国版。
今時はネットで情報が見られるのでカタログの重要度は落ちていますが、写真にオリジナリティがあってコレクションとしては嬉しい冊子です。
配り方が実に面白く、スタッフに「この車種とこの車種のカタログをちょうだい!」とお願いするとまとめて渡してくれます。小さな子供からおじいさんまで客層は様々。中には「全部欲しい!」と言う人が居て、周囲が笑いに包まれます。
私も「Sクラスと、GLEを!」と英語でお願いしてみると、立派な”メルセデスバッグ”とセットでいただく事が出来ました。今まで見た中でここまで高級感のある紙袋は初めてです。
外で写真を撮っているとニュッと手が伸びてきて、冗談好きなドイツのおじさんが「良いの持ってるねー!」と話しかけてくれました。本国の人でも欲しくなってしまう貴重な一品です。
お客様中心とコミュニケーションがポイント
ここまで3ブランドのモーターショーでの取り組みをまとめてみましたが、どのブランドも『お客様が中心である』事を強く感じます。日本のメーカーにもホスピタリティはもちろんありますが、このような展示会の場になるとお堅い技術の話やら、自己満足な展示が増えてしまうのが欠点です。
巨大企業と言う一見遠い存在との意外な距離の近さ、気の利くサービス、皆で笑いあえる場、様々な”暖かさ”を用意しているドイツ御三家のファンを大事にする姿勢に、我々は学ぶべき部分があるように強く思います。
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