外国人向け。JAPANESE TEISHOKU RESTAURANT
ある日道端を歩いていると、以前やよい軒があった場所に見慣れ無い看板が出ておりました。その名も英文字でYAYOI。中身は雰囲気の良くなったやよい軒ですが、何故だか英語化しています。その後読んだ外国人向けの英語観光冊子にはYAYOIの広告が出ていました。美味しそうなサバ定食や唐揚げ定食が値段付で紹介されています。「なるほどインバウンド旅行者向けに定食を売るのか!」と言うのは誰でも思い浮かぶ事と思いますが、私がより掘り下げたいのはASEANの先進国で、定食屋さんがレストランとして根付き始めている事実です。
MKによりタイで150店舗運営されているやよい軒
以前タイの小さなショッピングモールを歩いていて見つけた”やよい軒”。周囲のお店と並んでごくごく普通に出店しているのが私にとっては驚きでした。いつものベトナムの感覚だと、和食=まだまだ金持ちの道楽的な印象がありますので、タイでは庶民的なレベルまで普及しているのかと感じたのです。
調べてみるとレストラン運営で有名なMKがフランチャイズ権を持っているとの事。2016年8月現在タイ国内で150店舗を出店しています。また、やよい軒の運営会社であるプレナスは、日本でMKブランドのレストランを運営しており、関係の深さが伺えます。商習慣、文化が分かり辛いアジアでは、良いパートナーを見つける事が展開における重要なポイントです。
早速店内へ。ファミリーレストランのようなレイアウトで、食券ではなくスタッフにオーダーし出口で支払うタイプです。客層として少し日本人も見えますが、ほとんどはタイの若者達(失礼ながらお金持ちには見えない普通の若者)でした。こんなにも若い人々が普通に日本の定食を食べている!とまたまた驚きます。
ちゃんと”日本茶”が出てくる喜び
アジアの和食屋へ行くと”日本茶風”の何か違ったお茶が出てくるものですが、やよい軒はちゃんと日本茶が出てきました。しかも可愛らしいポットや器で提供され、和やかな雰囲気を演出しています。このような独自の工夫は好印象です。謎の白身魚”パンガシウスステーキ定食”
サバの照り焼きやトンカツなど普通の定食もあるのですが、せっかくなのでオリジナル系を頼んでみる事にします。私が頼んだのは”パンガシウスステーキ定食”、お値段165バーツ(500円ほど)。パンガシウスとは何ぞや?と調べてみると、日本ではバサ(サバではない)と呼ばれる魚で、ベトナムやカンボジアで獲れる淡水魚だそうです。
冷凍食品のフィッシュフライ等の材料として輸入されている魚なので、慣れたお味で臭みも無く美味。どうせ美味しく無いだろうと舐めてかかった味噌汁も美味しく、白米も日本由来のモチモチとしたものです。なぜか漬物が”キムチ”なのですが、辛い味に慣れたタイの人にとっては日本の漬物よりキムチの方が好みかもしれません。
タイはその辺の屋台へ行けば、写真のような定食が60バーツ(180円)もあれば食べられますので、やよい軒の定食は2倍以上の値段です。しかしサービスがあって、涼しい店内でそこそこの日本食が食べられるとすれば、500円は決して高く無い値段に見えます。
日本の飲食店はシステムが分かり辛い
以前アジアの人に”日本のイメージは?”と聞くと、真っ先に出てきたのは物価の高さでした。彼らにとって日本はご飯が高い!交通費が高い!とある意味”恐怖感”すらあるようです。実際のところ、アジアでは高額な牛肉を使った”牛丼”が300円そこらで買える国ですので、むしろ割安な面もあると思いますが、一度出来上がったイメージはなかなか崩れません。
また英語が通じない、支払方法が現金中心、払い方・オーダーの仕方が分かり辛い、そもそも外国人を見て嫌な顔をされる・・・などなど初めて日本へ来た人にとって飲食は苦悩の一つかもしれません。
その点やよい軒は、価格が安く前払いの食券制で明瞭会計、メニューが写真で選べて種類が多い、ご飯食べ放題!など外国の方からしてもバリューで溢れています。彼らは色々な物を食べたがるので、メインメニューをいくつか頼んでシェアしやすいのもポイントです。
海外で定食文化を広げつつ、外国人にとって分かり易いYAYOIへと店名を変えていく。タイ以外の店舗数はまだまだ少ないですが、地道に増やしていけば、マクドナルドのように「俺の国にもあるから気軽に入り易い!」と言う国境を越えたリピーターが出てくるかもしれません。