タブレット型操作パネルが光るテスラモデルS
長距離をしっかり走れる電気自動車で世間を驚かせたテスラ。発売された2012年当初は『使えるレベルでの走行可能距離』が注目され、それまで発売されてきた”短足”電気自動車の常識を覆しました。またもう一つ世間から絶賛されたのが『ソフトウェア』の概念を、目に見える形で車に取り込んだ事であると言えます。
センターパネルとスピードメーター内に大型の液晶パネルが設置されており、エアコン、オーディオはもちろん、車の状態確認や制御まで全て行う事が出来るのです。
高級車では一体型の液晶操作パネルは珍しくありませんでしたが、ボタンをタッチした時のスムーズさや表現の美しさに著しい差異があります。グラフィックチップで有名なNVIDIAが協力しているそうで、美しい表現には大いに納得出来ます。
OSについてもアップデートが日々続けられており、現在最新版の8.0が公開されています。
iOSやAndroidOSと同様、定期的にアップデートプログラムがインターネット経由で配信され(OTA)、いちいちディーラーに持っていく事なく、機能の向上が実施されます。
一般的な日本車でも、実のところ「プログラムのアップデート」は存在するのですが、顧客に明確な概要まで説明される事は少なく、ディーラーへ持ち込んだ際に勝手にアップデートされていることがほとんどだと思われます。もちろんディーラーへ持ち込まない場合は旧版のまま維持されるので、ユーザーによって差異が生まれてしまいます。
高級車の証エアサスペンション装着
先にご紹介した全体的な使い勝手や、自動運転等に重きが置かれているためか、ユーザーのレビューを見ると、運転した時の感覚が良くないと言ったネガティブな反応が散見されます。しかし設置されていたシャシーのモックアップを見ると、高価でなかなか装着されないエアサスペンション(コンチネンタル製)など、素人目には走りの部分にもお金を掛けているように見えます。
もちろん設計や溶接など詳細は一見しただけでは判断がつきませんが、”自分で運転しない車”として設計しているため、運転が好きなユーザーからすると違和感を覚えるのかもしれません。
そもそも日本の市場を見ると「サスの動き」や「剛性」を気にするようなコアなドライバーは大分減っているはずです。
つまり現代人にはテスラのような使い勝手を優先した車こそが、最もニーズに合った商品であると考える事が出来ます。
バッテリーが問題?車体がアメリカ以外では巨大すぎる
スマートな機能を盛り込んだモデルSですが、外観は決してスリムではなくファットな構成です。横幅1950mm、全長4979mmとなっており、これはトヨタの大型4輪駆動車ランドクルーザーとほぼ同じ大きさです。
高級なセダンとして発売されているので、その点ではイメージ通りかもしれませんが、スマートフォンのような柔軟性が売りの車ブランドなので、気軽な小型車の方が顧客の心をつかめるように思えます。
世界中でバッテリー自体の新しい仕組みを研究したり、関連するチップの構造を変更したり絶え間ない努力が続けられていますが、この部分に革命が起きない限り劇的な小型化は難しいでしょう。
今後より小型のモデル3が発売される予定ですが、本格的に電気自動車を普及させるには走行距離はもちろん、それに比例して大きくなる車体をどのように抑えるかがネックになりそうです。