アメリカでは奇跡?6ドルの弁当
2010年代初頭であれば円高の効果もありあまり気にならなかった食事のコスト。最近では円安や物価の上昇(インフレ)によって、欧米の食事代は著しく高騰している印象です。日本でも牛丼が200円台から300円台になったり、高付加価値型=高単価の飲食店が増えているのは事実ですが、一方で単価は安いまま美味さを売りにする居酒屋が増加したり、結局そこまで大きな変化を感じない場面の方が多いのではないでしょうか。
一般の方と同様デフレマインド日本人の私は、旅先でも油断する事無くついつい安い店を探してしまうのは言うまでもありません。そんな私の目に飛び込んできたのが”6ドルポッキリ”を売りにするオオサカグリルだったのです。
え、アメリカで6USD?と目を疑った私。大阪という名前が如何にも胡散臭く、なおかつ地元の雰囲気が強すぎて躊躇しましたが思い切って入店します。
黒人の方が焼肉弁当を楽しそうに食べている
店内はそこそこ賑わっていますが白人は皆無。厨房ではアジア系の方達が黙々とお肉を焼いています。差別する気も無いし、全く普通の皆様なのですが、自分のアウェイっぷりに気がつきしばし硬直します。メニューは一番安いチキンの照焼き弁当が6USD。ビーフや2種類のお肉を選べるハーフ&ハーフもあってそちらは10USD程度です。構成はとてもシンプル。ライスの上にレタスサラダとお肉がメガ盛りかのごとく盛られています。正に焼肉丼。
ラーメンや寿司なら今時珍しく無いかもしれませんが、まさか焼肉の弁当がここまで馴染んでいるとは思わずかなりの驚きです。アメリカの人も「今日はライスと肉をガツンと食べたいぜ!」と感じる日があるのだな・・・と妙に共感出来ます。
お味は少々甘めながら日本の照焼きそのもの。バーベキュースタイルなので香ばしさもあり、日本の適当な焼肉弁当よりよっぽど美味しくいただけます。アメリカにしては野菜が大盛りなのも嬉しいところです。
紳士な店長さんの人柄に魅かれる
外観からすると「適当なオッちゃんが経営してんだろうな」と舐めていたのですが、応対してくれたのは超が付く程落ち着いた老紳士でした。偶然いくつかのオーダーが重なり、私と他の人の請求を間違えていました。私もボケっとしていて気がつかなかったのですが、後から気がついた店長さんがゆっくり落ち着いた声で「ごめんなさない、本当に申し訳ない」と深々と謝ってくれました。
アメリカですから良し儲けた!と放置してもおかしくありませんが、こんなにもしっかりした人が居るのだなと嬉しくなります。1995年オープンと書かれていましたから、どこの国でもクオリティや人柄は長続きする要因である事に気がつかされました。
残念ながら最近閉店されてしまったようですが、近年のアメリカは都市部の家賃が急騰していると聞きますのでその影響があるのかもしれません。また一つ面白い場所が消えてしまったのは寂しいところです。