東京駅から出発
今回乗車するのは北陸新幹線”かがやき”。鉄道はさっぱり知識が無いので何となくしか分かりませんが、”はくたか”など名称の違う列車が並行して運行されており、停車駅の数によって区分けされているようです。
外国人観光客が増えている昨今では「日本名の列車は分かり辛い=日本人の私でも良く分からない」ので便名の表示に工夫があっても良いかと思いましたが、歴史ある名称で運行を続けるのはJRの誇りなのかもしれません。
ちなみに昔東京駅でアルバイトをしており、自分にとっては最も馴染みの深い駅です。平日は学校へ行き、休みである土日は朝の6時頃から夜まで歩きっぱなしのお仕事です。
今でも同じ仕事をしている人たちを見ると、そっとお辞儀をしている自分が居ます。グウタラな自分で長続きとは程遠かったですが、少しの間世間の厳しさを思い知ったのでした。
引き締まった空気に包まれるグランクラス
到着した列車内で一度清掃が行われ、出発5分程前になると扉が開きます。待ち時間の長さや、待機場所の無さは鉄道旅行全般のネガティブポイントです。空港なら最優先で乗れるし、建物がクローズドだから涼しい・・・などと色々贅沢な事を考えてしまいましたが、これも列車旅の醍醐味だと考えることにします。
入口でアテンダントの方に挨拶をされて列車内に入ると、独特のグッと引き締まった空気を感じます。ベージュやブラックと行った高貴な色で統一された車内は、不慣れな人間にとって緊張すら感じるレベルです。
筐体の頑丈さがすぐに分かるシート
早速座席を眺めてみると、いかにもシートの筐体が頑丈そうで列車の座席とは思えないレベルです。シート自体も普段のペラペラシートとは比較にならない荘厳さ。皮がしっとりとしていて、体に違和感無く馴染みます。
ヘッドレストは過去見た事が無い程ふっくらとしていて、上下に移動させる事で非常に心地良く後頭部へとフィットします。
座席と座席の前後幅は思ったよりも広くなく、目分量ながらJALのプレミアムエコノミーと同程度です。ただ、シェル型なので、前席がリクライニングしても倒れこんでくることはありません。空間としては十分ですが、リクライニング角度自体はそこまで大きくありません。
座った瞬間は「大した事無いな」と思うのですが、長時間座っている内にじわじわと良さを感じるようになっていきます。
筐体の頑丈さ故に振動が伝わり辛く疲れませんし、お尻や背中が痛くなる事もありません。家の個人ソファーとして使いたくなるような、大変素晴らしいシートであると思います。
帰路は普通席に乗ったので気がついたのですが、車両自体の防音性能も高くなっている模様です。飛行機はどんなに高いクラスに乗っても騒音は消えませんから、日本国内で寝て移動するには、グランクラスが最も良い選択であると感じられます。
収納とUSB端子の不足が惜しい
列車のファーストクラス故に、コンセント、読書灯、大型のテーブルは標準装備ですが、惜しまれるのは収納やUSB端子が無い事です。収納についてはかなり気になるところで、例えばコンセントで大型のスマートフォンやタブレットを充電すると、ちょうど良い置き場所が無いのです。
座席の右脇に唯一小型のポケットがあるのですが、如何にも忘れ物をしそうですし、サイズも十分ではありません。
おしぼりやお菓子をいただくと、一時的にそれらを置いておくような場所もありません。仕方が無いので自分のリュックを足元に置いて、その上に物を載せていました。
USBについては現行規格とType-C規格の変わり目なので、装着しないのも一つの手ですが、海外の旅行者にとってはコンセントのプラグ規格が違うことになるので、なかなか面倒です。
USBなら世界中誰のケーブルでも挿せるので不都合がありません。
『日本人専用シート』から抜け出せていない
国際線の飛行機に乗る事が多いので、あえて飛行機との比較や外国人目線でレビューしてみましたが、まだまだ『日本人専用』の色が非常に強いと感じました。シートの出来や雰囲気が大変素晴らしいだけに、日本語表記だけの操作パネルなど、ドメスティックな視点で構成されたと思われる不足感が見え隠れしてしまうのです。これから更に訪日外国人が増える事を考えると、世界標準への対応は必須です。
E7系のシートはトヨタ紡織が製造されているとの事ですが、それであれば海外でも大人気なアルファードのVIPシートでノウハウがあるはずです。そのあたりの経験値を活かすことが出来れば、更に使い勝手の良さが出せることでしょう。
列車のシートは安全性などの面で、機能ばかりを追い求められないのかもしれませんが、もう少し利用者目線で作り込みをすると、より良いシートになりそうな予感がしました。
次回は車内サービスについてレビューしていきたいと思います。