2011年のJALフライトを振返る
もう7年も前の話。今回取り上げるJL002便、東京羽田発サンフランシスコ行のフライトは、自分のお金で初めてアメリカへと渡航した、思い出のフライトでした。当時はステータスという言葉も知らず、当然JGCは別世界の話。JALとANA、そして米系航空会社の運賃を比較しながら、その都度変化をつけて搭乗していたものです。
ステータスを所有している現在は、色々と待つのが嫌いな性分故に、どうしても特典が使えるワンワールド系の航空会社縛りになってしまいますが、気にせず様々な航空会社に乗っていた時代の方が発見があって面白かったと思います。
767-300ERの旧型座席
当時JL002で使用されていたのは767-300ER。スカイスイート仕様が登場する前で、色褪せた古いシートが使われていたのでした。座面に比較的厚みがあって座り心地は良いものの、シートピッチが狭く、画面は超小型。今では考えられないほど地味な配色と相まって、とてもネガティブな印象を持っていた記憶があります。
JALの会社更生法申請からわずか1年後の事ですから、設備が老朽化しても手の入れようがなかったのでしょう。今では株主ですらある私ですが、昔は興味が無かったので、そんな事は知る由も無い状況でした。
ドリンクと機内食
座席の狭さは気になったものの、偶然隣が空席だったこのフライト。夜便という事もあり、シートベルトサイン消灯後は窓側に枕を置いて、ゆったり姿勢で寝かせていただく事が出来ました。(だらしない写真しか残っていなかったので、汚い足は補正)目覚めるとドリンクのお時間。定番スカイタイムをいただきます。既にこの時鶴丸ロゴが復活していた気がするのですが、カップは旧型デザイン。
シンプルで一見良さそうな旧型デザインですが、今現在羽田の売店で鶴丸ロゴ商品が結構売れているのを見るに、ブランド力を活かさず潰した悪い例である事が良く分かります。
こちらが機内食。長距離線なので二食ですが、写真は後半にいただいた軽食(スナック)です。特に注目のポイントは器が青い事と、サラダにエビが使用されている事。
なんでコーポレートカラーが赤なのに他社の色を使っているのか?というツッコミどころが見え見えなのと、昔の機内食サラダはエビの付け合わせが定番だったと妙に懐かしく感じるのです。
メインは非常に味付けが良く、盛り付けも美しい煮物だったのですが、あろう事か肉系は全く入っていませんでした。
ただし、具材はともかくとして、味付けの繊細さは当時の方が明らかに上で、今はどんどんコンビニ化している気がしてなりません。
コストを落とす=手間を無くす=工業化する=味が適当になる=それが普通だと思う人が増える・・・という負の輪廻は、JALの問題というより社会全体の問題かもしれませんね。
憧れが叶う瞬間、窓の景色で泣いたフライト
JALにとって調子が悪い時期だっただけに、色々とツッコミどころはありましたが、CAさんの対応や気遣いは素晴らしく『やっぱり日系航空会社ってスゴイんだな!』と感動したものです。実のところ「米系やANAよりもチケットが安かった」というのが、この便を選ぶ理由の一つでしたが、自分のお金で日系のフラッグシップであるJALに乗れて、しかもアメリカ本土に行けたわけで、窓の外を眺めている内に本当に涙が出ました。
憧れとか夢とかそういうのが叶う瞬間というのは、大変気持ちが良いものです。LCC全盛時代の若者にそんな事を言っても全く響かないでしょうが、ある意味”夢が持ちづらい”環境というのは少々気の毒ですらあります。
難しいから喜びがある、面倒だから喜びがある・・・。次はAIやらロボットやらが闊歩するようになるわけですが、益々「苦労を見つけるのが大変になって」経験不足の無味乾燥な人々が増えていきそうな予感がします。