贈答用のムーンケーキを自腹購入
今の季節になるとハノイの路上やスーパーで特設販売される月餅。一見普通のお菓子ですが、贈答品として用いられるため、驚くほど高価なのが特徴です。『高級なのだからさぞ美味しいのだろう』と思った私は、自腹で1000円ほどのセットを購入してみました。
蓋を開けてみると二つの大きな箱が鎮座しておりました。てっきり小分けになった月餅が沢山入っているのかと思いきや、たったの二つ。サイズが大きいとは言え、一つ500円の月餅に対してボッタクリ感が否めません。
日本人の口にも合いそうな栗餡の月餅
箱に入っていた月餅は二種類。「栗(ベトナム語でHat de)」と「蓮(ベトナム語でSen)」で作られた餡が使われています。なんとなく日本人の口にも合いそうだったので、まずは栗餡の方をチョイスしました。ちなみにもう一方の蓮はアジアでポピュラーな食材であり、以前カンボジアで生の実を食したことがありました。そのままだと決して美味しくはありませんでしたが・・・。
小箱を開け、さらに袋を開くと巨大な月餅の登場です。意味は良く分かりませんが「龍庭」と書かれています。きっと縁起の良い言葉なのでしょうが、ご紹介の都合上容赦なく半分にさせていただきます。
ギュウギュウに詰まった餡の濃厚さ
パカっと割って中から現れたのはこれでもかと敷き詰められた栗餡。思ったよりも皮が薄く、月餅というか餡そのものと形容したくなるほど。早速食してみると、日本のあんことは異なる、非常にねっとりとした食感で、適度な甘さの栗味が口に広がります。少々濃厚すぎる感もありますが、日本人でも受け入れやすいお味。切り分けてお皿に盛れば、十分お茶受けになりそうです。
あくまで贈答品であって、やはり一個500円の月餅を自ら買ってまで食べる物とは思えませんが、予想よりも美味しく新しい味で、食べてみて良かったというのが率直な感想です。
相手の文化を知ろうとする努力が重要
ところで、私が良く変わった物を食べたり、文化にトライしようとするのは一種の練習です。日本の方で『ベトナムの人が勧めた物を断る人』が居るのですが、可能な限り受けた方が良いのではないかなと思います。相手は大抵の場合「喜んで欲しい」と客人をもてなすために勧めてくれるものです。特にベトナムには気遣いが大好きな人が多いので、その傾向が強いと言えます。
それを嫌々な暗い顔でNOと言った時点で、それ以上の関係性は構築出来ないでしょう。逆の立場で日本へ客人を迎える事になった時に、同じようなことをされたらどんな気分でしょうか?
もちろん無理をする必要は全く無く、少し試してみてダメなら、笑ってゴメンなさいと率直な感想を述べれば良いだけのことです。
ビジネスでも遊びでも相手を知ろうとすることは貴重な第一歩です。難しく考えず、とりあえずトライしてみてはと思います。