質素なオールドロレックスのボックス
本題に入る前に少し前置き。私が所有しているサブマリーナーデイトはRef.16610型番の中でも、製造年が1990年代前半の大分古い形式に属します。とても古い時計のことをアンティークと呼称しますが、ちょうどのこの時計はアンティークに入る一歩から二歩手前と言えます。現代時計の純正箱は、高級系統に入れば入るほど巨大化しているのですが、ロレックスもその例外ではありません。
写真は私が保有しているRef.16610の箱ですが、非常にコンパクトでシンプルな構造です。以前購入したチューダーの箱と比較しても、およそ3分の1のサイズでした。
チープではありませんが、余計な装飾が全く無く、最初に見た時は『本当にロレックスの箱なのか?』と疑問を持ったものです。
フランス語の表記
箱の中身を見ていきましょう。まず特徴的なのはロゴの違い。最近の箱はロレックスの王冠と文字だけが印字されるようですが、こちらにはCreation Geneveの文字が大きく併記されます。
良く見ると英語のGENEVAジュネーヴではなく、フランス語表記のGENEVEである事が分かります。スイスの中でもジュネーヴは仏語圏なので、表記がフランス語になっていたのです。
ちなみにスイスでは共通で使われる英語を除くと、ドイツ語(63%)・フランス語(23%)・イタリア語(8%)・ロマンシュ語(0.5%)の4つの言語が使用されています。(*日本国外務省WEBページより)
ドイツやフランスにも有名な時計ブランドが存在しますが、間に挟まれたスイスで時計産業が発展したというのも、大いに関係がありそうです。
箱の中身に戻りましょう。時計本体を保護する部分は質感の良い素材(正確な素材が分からず)が使用されています。暗い場所に保管しているとはいえ、既に30年程度前の物ですから、ここまでしっかりと形を維持しているのは、元々の素材の良さを示す証拠でしょう。
箱を保管しておくメリットとは?
時計を大事に所有していく上でとても大切なのは、保証書と購入時の箱を保管しておく事です。家電などを売却した事がある方ならご理解いただけると思いますが、箱がついているとその分価値が上がるものです。もし資産として時計を保管している方であれば、箱とセットにするだけで、全く異なる評価につながります。ただ単に個人として保管している方でも、箱があると『あの時こんな買い物をした・プレゼントにもらった』といった、思い出を振り返るきっかけになります。
またロレックスは正規店以外でメンテナンスや修理をすると、それ以降正規のお店では受付をしてくれないと聞きます。
一度正規店でメンテナンス・修理を受けると、そこから2年間の継続保証カードが発行されますので、カードを保管していく事で、純正状態の維持が証明可能です。もちろんメンテナンスを全く受けていない時計でも、最初の保証書面があれば残しておくに越した事はありません。
世間的な価値以上に、所有する事で人生にすら影響を与えてくれる機械式時計ロレックス。末長く大事にしていきたいものです。