巨大な深圳の電気街"華強北"
初めて訪れた中華人民共和国、深圳市。最近ニュースやSNSで情報が多く出回っており、非常に気になっている街でした。2018年には香港から広州方面へとつながる中国版新幹線も開通し、外国人にとっても、更に距離が近くなっています。広い深圳市の中でも特に有名な電気街”華強北"へと訪れてみると、10代〜20代と思われる若者で溢れかえっていました。
何故若い人がこんなにも多いのかと、地元の人に聞いてみると『例えばスマホのオプションパーツを自作しちゃう人がいるんだよ!』とのこと。
昔の秋葉原も自作系ユーザーで溢れていましたが、20年以上経って中国で全く同じ事が起こっているというのは何とも面白いものです。
人工智能(人口知能)ショップを発見する
そんな街中で一際目を引いたのが”AI NEW TECHNOLOGY EXPERIENCE HALL”と書かれたショップでした。店内では如何にも話のウマそうなお兄様達が、集まった人々に実演をしながらロボットを売りつけています。
並んでいるロボットは昔の漫画に出てくるような超古典的デザイン。ずんぐりした胴体に、全く役に立たなそうな手が付いていて、下部に装着されたローラーで移動するようです。
良く見ると、頭部に装着された液晶画面に表情が表示され、たまに笑ったりします。てっきり柔軟な表示をするのかと思えば、完全なコマ送り。これは本当に最新テクノロジーなのか?という疑念が止まりません。
ちなみに中国語が分からないので、張り紙やらでどんな機能があるのかを探ってみたのですが、”家電の制御”程度しか出来ないようです。
1.声をかけて指示する→家電の操作をしてくれる
2.声をかけて質問する→回答してくれる
SiriとかAlexaと変わらないじゃん・・・と突っ込みたくなりますが、とにもかくにもロボットの形をしている事が重要なのでしょう。
実際に電源が入っていたロボットへジェスチャーをしたり、話しかけてみたりしたのですが、全く反応すらしません。製品として成立していない!と怒りたくなるレベルです。
ちなみにこちらの型のロボットを購入すると、素敵なデザインのダンボールでお届けされるようです。
夢のロボットが家庭に届けば『うわーパパ、ロボットキタよ!』という子供の楽しげな声が家中に響き渡る事でしょう。一方奥さんは早々に何かが違う事へと気がつき、足で片付けそうな予感がします。
ペッパー風・・・の何か!
そう言えばこのショップではペッパー君も見つける事が出来ました。あれ?ペッパー君はこんな電気掃除機みたいな足回りだったでしょうか・・・。
近くで見たら全く違うロボットでした。これぞ中国!という感じで、外国人からすると面白いですが、流石にこれは売れないだろうなという気がします。
という事で、AIショップはまさかのオカルトショップだったわけですが、電気街全体で見ると怪しげなショップは思ったより少数派だった気がします。
以前であれば『超劣化コピー』だったり『コピーの度が過ぎて意味不明なオリジナルになってる』といった製品が中国の売りだった気がするのですが、今は『安定したコモディティ品』が主流になっていると感じました。
どこへ行っても同じようなスマートフォンや、同じような製品が並び、どれも製品としては基本的な性能を有していて、決して柔な見た目をしていません。
ユーザーたる地元の人たちがそれに群がり、品定めをしているのですから、自ずと問題のある製品は淘汰されていく仕組みも出来上がっています。
コピー大国と揶揄された中国が着々と成熟してきているのは事実で、逆を言えば我武者羅なハングリー精神に満ち溢れた個性は薄くなってきているのかもしれません。
結局、成長→衰退という道は避けられないのかもという点で、今後の流れが気になるところです。