東京・お台場でジャパンモビリティショー2023が開催されました。コロナ禍を経て、旧モーターショーはどのような形になったのでしょうか。
AIサマリー
- ジャパンモビリティショー2023では出展者が少なく、会場がスカスカであった。
- EVの普及により自動車業界は変化しており、展示会自体の在り方も問題視されている。
- BYDは現場で昔ながらのモーターショースタイルを実践し、EVに関する詳細な解説を行った。
- モビリティショーでは車以外のモビリティが見られないと感じられ、体験要素が乏しいとの印象がある。モビリティの概念を広く捉え、未来を見る会場の方が良いとの提案がある。
- 改善提案として、体験要素の向上、外国のプロデューサーの導入、公式アプリの改善、お台場全体を使ったイベントの増加が挙げられている。
VWグループもいない?!出展者の寂しい会場
コロナウイルス問題が終わり、久しぶりの開催となったジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)。コロナ禍前から「車ではなくモビリティ主体」の色を押し出すようになり、自動車ファンだけではなく、広く来場者を増やす取り組みへと変化してきています。
自動車メーカーにとって日本のプライオリティは低下しており、新型車やコンセプト発表の場として、わざわざ東京でのショーを活用しなくなっていることも、変化の要因であると言えます。
ここ数年でEVの登場により自動車業界は激変してきており、モーターショーという展示会そのものの在り方も問われるようになってきました。かつて私も訪問したフランクフルトモーターショーはミュンヘンへ場所を移してIAA MOBILITYへと変わっています。
2023のモビリティショーを訪れて思ったのは『出展者が少ない』ことでした。少なくともコロナ前のショーはより多くのメーカーが出展しており、本体以外のパーツやアフターマーケットメーカー関連も賑やかだった印象ですが、会場がスカスカで空いた空間が目立ちます。そのせいなのか、何故か有料の音楽ライブを開催したり、スペースをわざと大きく使うような展示が多かったり、ちぐはぐな印象を受けました。
SDGsを意識したのか、チラシやパンフレット類はほとんどのメーカーで省略(単なるコストダウン?)。多様性を意識したのか、解説も無いような謎のダンスなど、難しすぎて良く分からない演出が目立ちます。
ドイツ御三家ではベンツやBMWはブースがありましたが、アウディは存在すら無く、親会社であるVWグループ自体が出展していません。車以外のモビリティも、期待した未来の道具とは少し乖離した展示が多く、もうちょっと現実的な未来へと繋がる展示が見たいところです。引退したはずのペッパー君が並んでいるエリアもあり、もはや未来というか「過去」な展示もありましたが・・・。
自動車メーカーは円安で儲かっているはずなのに、モビリティショーの展示はそんなにコストも時間もかかっている様子でもなく、惜しいなあという印象に終わってしまったのは残念です。楽しめる箇所も多いけど、物足りないという感想でした。
訪れる人は増えた!と毎回喜んで反省をしないのは、日本の悪しき慣習です。
バークシャー・ハサウェイの出資以後、バッテリーやEV製造へ力を入れ、今ではテスラと並んで全世界で猛攻をしかける自動車メーカーへと成長しました。日本でもATTO3と呼ばれるSUVの販売を開始しており、全国へディーラー網も広げようとしています。
EVを売るという明確なビジョンがあるためか、ブースはEVとその構造はなんたるかを詳しく解説する構造となっています。また、意図的に日本未導入のモデルを複数展示し、その反応を確かめている様子もありました。
広くはない展示ながらも、複数の国籍の人々で賑わっており、展示の仕方としては成功していたと言えるでしょう。
モビリティショーという名称ながら、車への期待はまだまだ大きいものがあり、その期待に対してストレートに答えていたのは、数えるほどのブースしか無かった気がします。
移動手段と捉えるのであれば、何でも該当する気がします。飛行機でも、電車でも、ロープウェイでも、どんなものでもモビリティと言えるでしょう。
だとすれば、多種多様な手段が実現した未来を見られる会場の方がピンと来る気がします。今はネットで何でも見られる時代です。リアルでなければ分からない姿を見せるのが正しい方法だと思います。
私が最もピンと来なかったのが、自動運転の車椅子みたいな乗り物で、中途半端な短距離の移動手段はニーズが乏しく、実は使い勝手が悪いのではと感じます。日本は道が狭く、段差が多いし、ペンシルハウスみたいな自宅内で使うような方法も難しい。なおかつ助けてもらってる感全開の見た目が本当にダサい。今の高齢者は自尊心が高いので、そういうのを嫌う気がします。
タクシーとライドシェアが共存して空白を埋めたり、車が駐車場から自動で走ってきてくれるような、諦めていることを解決してくれる手段の方が、実際に病気や介護の現場を目撃している身からすると、本当に役立つと思えたのでした。
どうも近視眼的というか、人の話もろくに聞かず、現場へ行って考えていないような自己満足開発が、日本企業の中に蔓延しているように感じます。課題を勘違いした自己満足の開発は、サラリーマンの暇つぶしになりかねず、本当に誰も救いません。
皮肉なのは、東京ビックサイトへの移動は電車・バスといったアナログな手段ばかりで、アプリで混雑を回避した!といった発展性はゼロなわけです。そういうところの視点が足りないのだと思います。
次回に向けた改善提案
・モビリティショーと強調する割に、車以外のモビリティを見られる場所がほとんど無い。記憶に残る見せ方になっていない。故にモビリティを本当に見られる場に変えていく。・ネット全盛の時代に、体験要素が乏しい。10年位前のモーターショーの方が体験出来るゾーンが多かった印象。故に体験要素を今の10倍は用意する。
・オリンピックのグダグダ感と同じで、全体を仕切って取りまとめるプロデューサーが居ない印象。パーツパーツが勝手に動いているので、全体の統一感が無く、ちぐはぐ感が出てしまっている。故に外国の人でも良いのでプロを用意して、見せ方をコントロールしていく。
・公式アプリしかり、ソフトウェアを使いこなせていない。アプリが会場体験の助けに全くなっていない。
例えばこんなことが出来るはず!
・お台場全体を使ってライドシェア体験会をやる。タクシーとの違いを説明するゾーンを作るなど、それぞれの意見を戦わせる場を作る。Grabなどの海外の事業者に来てもらい、どんな体験を提供しているのか現実を紹介してもらう。
・テスラに頼んで自動運転のデモをやってもらう。日産のCMでやっているような芸当を披露してもらう事も可能。
・自走ロープウェイのジッパーなどベンチャーがお台場でテスト出来る環境を用意して、自由にやってもらう。その代わり来場者にも、どんなことに取り組んでいるのか説明してもらったり、体験してもらったりする。
→お台場という島を貸し切りにして、雄大に展示を見せるような場に変えていく。そうすると、海外勢からもモビリティショーを実験の場に使ってみようといった関心を引き出すことが出来る。出展者が増えれば盛り上がるし、コスト面でもよりダイナミックな運営が出来るようになる。
※広さや自由度という面では、再度幕張に戻って実現しても良いのかもしれない。
・入場料だけでなく、ファンディングの要素を取り入れて、お金を出してくれた人にはより深い体験を出来るような誘導を促すのも一手。
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